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名古屋高等裁判所 昭和24年(控)245号 判決

被告人

藤原朝夫

主文

本件控訴を棄却する。

理由

依つて先づ弁護人提出の控訴趣意につき記録に基き按ずるに

原審判決書の記載に依れば弁護人所論の如く原審は「被告人は心神耗弱の状態にあつたものである」と判示し其具体的理由を記載してないことは之を認めることが出來るが抑々裁判所が被告人の精神状態を判定するに当つては被告人の健康状態、犯罪の態樣、公判廷に於ける被告人の供述の模樣等諸般の事情を綜合して其自由な心証によつて決定するのであつて必ずしも其決定するに至つた具体的の理由を判示するを要しない。弁護人は「被告人は脳梅毒の上飮酒して居たから心神喪失の状態に至つて居た」と主張するか被告人の自署した控訴趣意書の記載並に名古屋拘置所技官罵越順二作成の被告人に対する診断書に依つて看るも被告人は飮酒しないときに於ては普通人と異ならぬ思慮分別を有して居ることが窺はれるから其上相当飮酒して居たとしても諸般の事情を総合して原審認定の如く「心神耗弱」の程度以上には認められないから此点に関する論旨は理由がない。

前後略

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